HP Spectre x360 13-ae000の追加ペン「Spectre アクティブペン2」は傾き検知にも対応した充電式ペン…だが致命的な欠陥あり?
HP Spectre x360の第3世代、HP Spectre x360 13-ae000(2017年11月モデル) の情報をチェックしていたところ、オプションとして追加されていた「Spectre アクティブペン2」は傾き検知にも対応していると、しれっと記載されていました。
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HP Spectre x360 13-ae000はMPP対応
HP Spectre x360 13-ae000はMPP(Microsoft Penプロトコル / 旧N-trig)によるペン操作が可能なコンバーチブル型タブレットです。今回追加されたSpectre アクティブペン2も、Microsoft Penプロトコルに対応すると記載されています。
Spectre アクティブペン2 (アッシュブラック)
1024段階の筆圧検知と傾きに対応し、より自然な書き心地でご利用いただける、Microsoft Penプロトコルに対応した充電式アクティブペン。
ペン側の説明にはこのように書かれています。タブレット側の説明には傾き検知についての記述が一切ないためどうにもモヤっとしていますが、オプション対応表(PDF)によるとSpectre アクティブペン2の対応機種はSpectre x360 13-ae000のみとなっているので、2017年11月モデルだけが傾き検知に対応していると見てよさそうです。
このペンを使って新Surface Proでも傾きが効かせられるのかは不明です。今までMicrosoft Penプロトコルで傾き検知に対応している機種はSurfaceシリーズのみであったため、Surfaceと同じ方式で傾き検知が実装されてるのか、HPの独自実装なのかは互いのペンで試してみなければ判断が難しいところです。
ちなみに HP Spectre x360 13-ae000のドライバー を検索すると「HP Tilt Pen ドライバー」が公開されており、「HP Tilt Pen のTilt 機能を有効にするサービスとフィルタードライバーが含まれている」とのこと。HP Tilt PenはSpectre アクティブペン2(型番:2MY21AA#UUF)の海外での商品名のようです。
筆圧段階は1,024段階
傾き検知には対応するものの、筆圧段階は1,024段階に据え置きで、新Surfaceペンの4,096段階には及ばないとされます。この点から、Surfaceとは別の方式で傾き検知が実装されているのかな? と疑問になります。
充電端子はUSB-C
充電はペンのUSB-C端子にケーブルを接続する方式。HP Tilt PenのDatasheet(PDF) によると、充電端子はペンの中に隠されており、ペン上部の分割ラインから引き出すと端子が現れる仕組みのよう。
先発のMPP対応充電式ペンであるAdonit Inkと比較すると、Adonit Inkは端子が剥き出しになっており、すぐに充電できて便利である反面、破損の恐れがありました。また、Adonit Inkの充電端子がmicroUSBであるのに対し、Spectre アクティブペン2はUSB-Cのため、今後の傾向を考えればSpectre アクティブペン2のほうが充電ケーブルを減らせると考えられます。
充電式ペンとしては欠陥品?
Spectre アクティブペン2は連続利用可能時間が約10時間と異様に短くなっています。Adonit Inkが60時間であることを考えると、Spectre アクティブペン2の稼働時間がいかに短いかがわかります。しかも充電中はペンとして利用できないって……。
またUSのHPストアのHP Tilt Penのレビューでは、電源を明示的に切ることができないため、使おうとすると電源が切れていると指摘されています。
Got one of these included with my HP Spectre. I charged it up and on the first use all seemed good. That was until I realised there appears to be no off switch so every time I pick it up to use it the internal rechargeable battery is flat. This is a deeply flawed product and I'm glad I didn't pay full retail price for it. Not recommended.
(意訳)私のHP Spectreに付属しています。ペンを充電し、最初の使用ではすべてが良いように見えましたが、それはオフスイッチがないことに気づくまででした。ペンを取り出すたびに充電式電池は空です。これは深刻な欠陥のある製品であり、私は完全な小売価格を支払わなかったことをうれしく思っています。お勧めしません。
なおAdonit Inkは2つのサイドスイッチを同時長押しで明示的に電源を切ることができます。傾き検知は気になりますが、MPPの充電式ペンが欲しければAdonit Inkを買ったほうがよさそうですね……。
Spectre アクティブペン2の説明書について
本当に電源が切れないのか、Spectre アクティブペン2の説明書を参照しようとしましたが、HPカスタマーサポートでSpectre アクティブペン2を検索しても出てきません。
型番の2MY21AA#UUFで検索すると、サポート & トラブルシューティング HP Precision Pen (2MY21AA) に誘導されました。そのURLには「HP-Tilt-Pen」が含まれています。HP Precision Penのクイックセットアップガイド(PDF) を参照すると、形状や機能などはSpectre アクティブペン2と同一であり、Spectre アクティブペン2とHP Precision Pen、HP Tilt Penは同じものを指しているようです。
HP Precision Penのクイックセットアップガイドにはプレゼンテーションモードへの切り替え方などは書かれていますが、やはり電源の切り方やスリープモードなどへの言及はありませんでした。
追記:Bamboo Ink Plusが発売しました
ワコムから Bamboo Ink Plus (CS322AK0C) が発売されました。AES (アクティブ静電結合方式) とMPP (Microsoft Pen Protocol / 旧N-trig) の両方に対応するスタイラスペンです。最大4,096段階の筆圧検知と、傾き検知に対応します(タブレット側が対応している場合のみ)。バッテリーは充電式で、ペンの横側に開けられたUSB type-C端子により充電します。
Bamboo Ink Plusはワコム公式で検証済み機種リストが公開されていますが、HP Spectre x360 13-ae000 は Non-Tilt supported devices に分類されており、やはりSpectre アクティブペン2はSurface系統とは別の方式で傾き検知が実装されているようです。
なおBamboo Ink Plusはペン先側のスイッチを長押しすると電源オン・オフが可能となっており、上述のようなSpectre アクティブペン2が抱える欠陥は解消されています。