デジ絵の話をしていると急に大学の構内に描き始める人がいるので、もうカンヴァスと表記した方がいい気がする
「キャンバス」と言うべきところを「キャンパス」としてしまっているネット文書のなんと多いことか。
キャンパスとキャンバス、文字が小さいと濁点と半濁点の区別が付きづらいのは分かります。耳で聞くことがなければ混同しても仕方ないとは思います。
一度間違って覚えると修正される機会がないことも問題なのかもしれません。Twitter等で誤字があっても、わざわざ教えてくれる人もいないですからね。自分で疑問に思わなければ調べることもないので、間違ったまま使い続けてしまいます。
キャンパスとキャンバスの違い
- campus(キャンパス):大学の構内。校庭。
- canvas(キャンバス):帆布や画布などの厚手の布地。転じて、画布に描いた油絵自体も指す。
デジタルで絵を描いているとキャンバス(画布)の実物に触れる機会はないですが、ペイントソフトでは画像の描画範囲のことを伝統的に「カンバス」や「キャンバス」と表記します。 ※Photoshopは「カンバス」、SAIやCLIP STUDIO PAINTは「キャンバス」と記載されています。
というところから、ツールの描画範囲に対してうろ覚えで「キャンパスに描く」などと書いてしまうと、急に大学の構内に絵を描く人になってしまいます。バンクシーかな?
特に講座などで、描画領域を指して「キャンパス」と書かれていると「こいつ何もわかってねーな」感が出てしまうので注意が必要です。
「VA」はカタカナでは「ヴァ」と表記することを徹底できていれば、このような悲劇の再生産は防げたはずです。canvasのように混同しやすい語があるものは特に、カタカナでは「キャンヴァス」や「カンヴァス」と表記した方がいいと思うのですが、どうでしょうか。
濁点と半濁点の区別が付きやすいフォントについて
表記を変えた方がよいなどと一人で言ったところで世の中が変わるはずもないので、とりあえず濁点と半濁点の区別が付きやすいフォントを紹介しておきます。
UD書体(ユニバーサルデザインフォント)という取り組みがあります。濁点と半濁点の区別は日本語フォントが抱える課題の一つであり、そうした問題へ対処しているのがUD書体です。
ひとたびどこかに行こうと思えば、案内板や交通標識、手元の切符にいたるまで、私たちはそこに記録された文字情報を頼りに行動をしています。文字は私たちの日常に、ごく当たり前のように浸透しているのです。
ではその文字が読みにくかったとしたら、わかりにくかったとしたらどうでしょうか。「300円」なのか、「800円」なのかわからない。濁点と半濁点の判別ができない。細い文字がかすれて読めない……文字の不明瞭さは、時として致命的なコミュニケーションの欠如を引き起こします。
このような事態を未然に防ぐためには、文字そのものがわかりやすく、読みやすく、読み間違えにくいことが求められます。つまり、誰がどんな状況であっても、正しく機能する「ユニバーサルデザイン」という発想が、文字のデザインにおいても求められているのです。
Windows 10には標準でモリサワのUD書体が入っています。「UDデジタル教科書体」や「BIZ UD」がそうです。フリーのフォントではMigMixなどがユニバーサルデザインの取り組みを行っています。
こうしたフォントをテキストエディタなどに設定しておくと、自らの書き間違いにも気づきやすくなるのでオススメです。