Moto Z Keyboard Mod実機レビュー 物理キーボードはいいが、後付けの歪さがどうしても足を引っ張る - 肉うどん

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Moto Z Keyboard Mod実機レビュー 物理キーボードはいいが、後付けの歪さがどうしても足を引っ張る


Indiegogoで出資していたMoto Z Keyboard Mod (Livermorium Keyboard) について書きます。6月頃に一部発送すると連絡があり、幸運なことに私のオーダー番号がその一部に含まれていたため入手できていました。しかしまだ他の人たちには届きそうにない状況だったのと、感想が割とネガティブだったので、本格的に発送が開始されるまで寝かせておいた方がいいかなと思って置いていました。

プロジェクトとしてはキャンセルされてしまい、もはや他の人が入手することは基本的にないので、供養のためにレビューを記載しておきます(Moto Z Playとの組み合わせでの使用です)。

Moto Mods、そしてKeyboard Modとは何ぞや

モトローラのスマホ「Moto Z」シリーズは背面に拡張用の端子が付いています。この端子でスマホと電気的に接続し、機能追加を行うモジュールがMoto Modsです。Modsの機能を象徴するかのようなカメラモジュールは、特に日本でよく売れたそうです。

この端子を利用して、QWERTYキーボードつきのスマホを復活させようというのが Keyboard Mod: A Physical Keyboard For The Moto Z (Livermorium Keyboard) のプロジェクトでしたが、既報の通り頓挫しました

一部の出資者には先行して発送されていたため、こうして持っている人間も存在しているわけですが、出荷ペースを考えるとおそらく全部で50台もないものと思われます。また、バッテリーありとバッテリーレスの2バージョンがあるとされていましたが、実際に生産されたのはバッテリーレス版のみのようです。

外箱および付属品

付属品は説明書のみとシンプルです。

外観チェック

閉じた状態。正面から見ると普通のスマホに見えます。

スライド。

スライド後、無段階に70°付近までチルトすることができます。

裏から見ると、バネやフラットケーブルが見えます。

キー配列はおおむね素直なQWERTYです。ただし括弧などがファンクションキーでの入力になっているのは慣れが必要な箇所です。

キーボードにはバックライトがあり、ファンクション+7キーでオン・オフできます。光量の調整機能はありません。キーの隙間からの光漏れがほとんどないのはポイント高し。

右上には接続状態とCaps Lockを示すインジケータとして、青色LEDが2つ設置されています。やたら眩しくて邪魔ですが、接続状態のランプはオフにできないようです。うーん……。そのうち目隠しシールを貼るつもりですが、電力の無駄なのでファームアップ等で解消できるなら修正してもらいたいところでした。アップデートはなさそうなのでシールで対応が無難そうです。

横から見た状態です。分厚いですね。強度の関係か、電話機本体に装着する部分とキーボード部分の厚みがほぼ同一で、むしろキーボード側のほうが薄いくらいです。

単体でも重い、装着するともっと重い

厚みからもわかるように、装着するとめっちゃ重いです。実測151g。Moto Z Playとあわせて317gにもなります。重さはあるものの、磁力で電話機本体にしっかり貼り付くため、自重で剥がれ落ちるような心配はありません。

ガッチリ貼りついていますが、外すときは簡単です。切り欠きがあり、この空間に指を掛けることで簡単に取り外せます。

さらに重量バランスが悪い

Moto Z Playで使用しているからというのもあるでしょうが、(大方の予想通り)画面側が重く、重量バランスが悪いです。また、キーボード部は薄く、キーを押し込む際の握りが足りない感があります。

これらのバランスの悪さはバッテリーレス版だから、というのはあると思います。バッテリーあり版ならばキーボード側の重量と厚みが増すとされていて、いくらかマシそうでした(総重量はさらに増しますが……)。Moto ModsはMoto Z Playでも使えますが、Moto Zとバッテリーあり版の組み合わせが本来のデザインかな、という気はします。なお、重量バランスが悪いとはいえ、画面を立てれば自立が可能なのは先に出した写真のとおりです。

持ち方の工夫として、少し(20°程度)チルトさせて、キーボードと画面側の基部との間に人差し指を入れて支えると、重さが分散されて比較的安定します。

操作感は良好

肝心のキーボードとしての使い勝手について。クリック感があるキーの押し心地はやや固め。カチカチと音が鳴るので静かなところでは使いづらいかも。Moto Mod端子で電気的に接続されているので入力遅延等はありません。

スマホ自体がでかいせいか、中央のキーは少し押しづらくなっています。具体的にはRキーが押したつもりで押せてないことが多く、なんだか取りこぼしやすいですね。キーの反応が悪いわけではないので意識して押せば問題はありませんが、手の小さい人には使いづらいかもしれません。

総じてモノ自体の出来はすごくよいです。しかし重量という有り余る欠点が使いづらさに直結しています。

キーボード開閉と画面回転は連動しない

私を含む、W-ZERO3シリーズのユーザー(の亡霊)たちはスライド式キーボードと見ると「ニギニギシャコッ」したくなるところかと思いますが、キーボード展開時に画面は自動回転しません。当初はアプリで対応するという話だったと記憶していますが、そこまで手が回らなかったようですね。

キーボードの電源ON/OFFは電話機本体のスリープとは連動しない

電話機本体がスリープ状態となってもキーボードは切断されず、接続状態を示すインジケータは付いたまま、キーボードバックライトも消灯しません。使わないときは閉じておくか、取り外しておく必要があります。※スライドを閉じるとキーボードが切断されます。

日本語入力切り替えについて

文字入力時はデフォルトで日本語入力となるので、どちらかというと英語入力したいときにどうするかという感じですが、ATOKでは「Alt + Space」で日本語入力切り替えができます。Google日本語入力では「シフトキー + Ctrl」です。いずれも1キーでできないのが地味に面倒です。

Google日本語入力では日本語入力時も「Ctrl + t」で英語に変換できるので、そちらを使ったほうがいいかもしれません。

実際のところ使い勝手はどうなの

文章の入力は日本語ならもはやQWERTYキーボードよりフリック入力のほうが早いです。なんといっても入力のステップが少ないですからね。矢印キーやシフトキーでの範囲選択、切り貼りなどはキーボードのほうが圧倒的に容易なので、ブログ等の編集には大いに役立ちます。

重量があるため、装着しっぱなしで必要なときだけスライドするといった運用がしづらいのがツライところです。「使うときだけ装着すればいいじゃん」というのはそうなんですが、「ならスライドする意味ないじゃん」となるジレンマを抱えています。

Moto Z Play (本体165g) は無機能のスタイルシェルを付けただけでもちょっと重いなと感じるくらいなので、Moto Z (本体134g) ならまた少し違った受け取り方になりそうです。

(追記)今回使用したMoto Z Playがバッテリー多めの重めな端末なので、薄さ軽さに全振りしているMoto Zならもう少し評価は変わるかもしれません。と思って中国版Moto Zが2万円で売っていたのを買って試してみましたが、やはりトップヘビーなのは変わらず。バッテリーを搭載しない場合でも、そのぶんの重りは入れたほうがよかったのでは……。

まとめ

装着時のスマホ本体を含む全体の重さと、頭でっかちな重量バランスの悪さ、スライドに連動しない動作などがネックで、後付けの歪さがモロに出ていると言わざるを得ません。ただしキーボード自体の各部の品質はよく、単体の製品としては優秀です。

考えてみると、Moto Modsは(バッテリーMod以外は)基本的に使うときだけ着ける設計になっています。スライドを捨てて、使いたいときだけ付ける形式にして重量バランスを取ったほうが実用性は高かった気がします。見た目的にはスライド&チルトしたほうがインパクトはあるのですが。

いずれにせよ万人に勧められるものではなく、ガジェオタのオモチャの域を出ない……なんてのは出資時点で分かり切ってたことですかね。そもそも物理キーボード自体がそうだというのは禁句です。

スライド式キーボード付きで、かつ普段はふつうのスマホとして使えるならば、キーボード付きスマホもガジェオタのオモチャから脱却できるし、「キーボードModでMoto Zを現代のW-ZERO3に」とはこれを足掛かりにしたキーボード付きスマホの復興を期待した声であったかと思うだけに、色々と残念です。

総じて「期待したものとは違った」(待たされて期待が膨らみすぎたとも言う)というのが包み隠さぬ正直な本音であり、出資されていた方々はキーボードModを惜しむことなく新プロジェクト:Q-deviceのほうに期待したらよいかと思います。

仮に今のキーボードModのMod端子の付いている面が、同程度の厚みのまま画面となり、キーボード側にバッテリーを搭載して厚みと重量バランスが改善するとなれば、上であげたような問題点はすべて解消されるため、Q-deviceには期待したいところです。

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