GPD WINは自作ゲーム界に革命を起こすPCとなるか【ゲームパッド+QWERTYキーボード搭載5.5インチWin10機】
GPD WINについて思うこと、期待すること、その他もろもろを書きました。具体的にどういう用途で使うとうれしいのか、特に一番期待している方向性である、自作ゲーム関係の人に注目してもらいたいところです。
目次
GPD WINとは
ニンテンドー3DS LLライクな筐体に、ゲームパッドおよびQWERTYキーボードを搭載する、5.5インチWindows10 PC。香港のGPDがクラウドファンディングにて開発中の、一部の人にとっては夢のようなマシンです。
元々は Indiegogo でのクラウドファンディングのプロジェクトで、Indiegogoでは達成率500%に到達。その後、緑屋電気が日本国内代理店となり、Makuake(マクアケ) でのクラウドファンディングが開始され、即完売。今は追加分の出資を39,800円で受け付けており、こちらも6月7日現在で達成率800%を越え、まだまだ伸び続けています。
私はIndiegogoで出資済みだったのですが、国内向けのカスタマイズとして技適を取得するとあったのでMakuakeでも出資しました。が、実のところ技適はGPD側で取得し、日本向けの出荷分は全部技適取得済みとなるようなので、あんまり意味なかったですね。緑屋電気では1年保証があるのがメリットではあります。
クラウドファンディングのリスクなど
クラウドファンディングは目標金額が集まったとしても、必ずモノが完成することを保証するものではないので、一応失敗する可能性があることは念頭に置いた上で見る必要があります。特に MorphyOne騒動 みたいな話を聞くとかなり及び腰になってしまいますね……。ただ、その点GPDはこれまでにGPD XDといったニンテンドー3DS LLライクなAndroid機をリリースしており、実績があるので比較的安心ではあります。また、仮にIndiegogoで100%を達成できなくても作るつもりではあったらしいです。どちらかというと宣伝目的だったっぽい感じですね。そしてその効果は絶大でした。
Makuakeの緑屋電気による日本向けの情報では、2016年10月の完成・出荷は既に確定しているような物言いではあるのですが、当初発表のスペックが古かったりなどプロジェクトの内容を把握し切れてない感があり、その情報がどこまで信用できるのかは分かりません。クラウドファンディングでの出資者には2016年10月に出荷するものの、2017年には一般販売される予定なので、リスクを負いたくない場合は一般販売まで待つべきでしょう。
予定のスペックはVenue 8 Pro 5855と同等
- OS:Windows 10 Home
- CPU:第4世代(Cherry Trail)Intel Atom x5-Z8500
- メモリ:4GB
- ディスプレイ:1,280×720、16:9
- eMMC:64GB
- 重量:約300g
CPUやメモリなどのスペックはDell Venue 8 Pro 5855とほぼ同等。ただしCPUが当初Z8500からZ8550に変更、その後またZ8500に変更と、迷走しています。これはIntelがZ8550を供給しないことが原因らしいので、なるようにしかならない感じですね。
解像度は1280×720と低め、しかし5.5インチと小さいので約267ppiと密度は高めです。スケーリングが微妙なソフトを使う場合は、このくらいのほうが却ってちょうどいいかも知れません。
Venue 8 Pro 5855は結構熱くなりやすいので、排熱はどうなるかが気になるところ。握り込む形状から、熱いとタブレットより困ったことになりそうです。ファンレスながら、スピーカー穴から音とともに熱も出す?とかいう謎機構があるとかいう話ですが……。
The sound exit will go with dust cover for dust prevention.Vibration speakers also can drive the heat dissipation. Please check the pic:
(意訳)スピーカーの振動は熱を放散することもできます。 だそうです。仮にスピーカー穴から排熱できたとしても、手に当たる位置に穴があったら意味なくない?という気はしないでもない。
”久しぶりに復活したUMPC”としてのGPD WIN
GPD的にはAndroid機のGPD XDの流れを汲んでニンテンドー3DS LLライクなWindowsゲーム機を出す、ということで基本的にはゲームプレイ用途メインで設計されているものであり、Windowsで出すならキーボードがないと困るゲームもあるから付けておこう、という程度の判断かと思います。しかしその結果、UMPC難民層も巻き込んで大きなプロジェクトとなった、という感じですね。
なんと出資者の6割が日本人とか。
Indiegogo contributions by country, looks like Japanese contributors were the majority by far
GPD WIN on INDIEGOGO | Dingoonity.org - The Dingoo Community
Windowsタブレットの発展のおかげで、AtomはかつてのUMPCのころとは比べ物にならないほどの性能および省電力性を得ました。今こそVAIO PやVAIO Uを作ればいいものができるのに、という声はときどき聞かれていましたが、まさにそれに近いアイテムといえます。それに呼応してなのかは分かりませんが、現在ヤフオクではVAIO Pの投げ売りが見られます。
ゲームをしないUMPC民にとっても、ゲームパッドはマウス代わりに使える便利なアイテムとなるでしょう。アナログパッドをマウスカーソル移動、L1/L2を左クリック、R1/R2を右クリックに設定する切り替えスイッチもあります。ただ、この辺は実際使ってみないと何ともですが、ゲームパッド設定のまま JoyToKey で好きに設定したほうが使いやすそうな気はします。
これがUMPC復活の狼煙となればガジェオタ的には面白いのですが、これだけ需要が集中しているのは「これしかない」からで、複数の会社から似たようなものがリリースされるようになるとあっという間にパイを食い尽くしそうな気もします。まあ、タブレット用のAtomが廃止されるので、出したくても出せないかもしれませんがね。
UMPCというよりはQWERTYキーボード搭載スマホのようなキーボード
イメージ図や進捗の写真を見る限り、キーボードはWILLCOM 03に似た、盛り上がりのある形状のキー。WILLCOM 03同様のキーであれば、パンタグラフキーより固めの感触で、本体をどこかに置いてキーボードを叩くのは現実的ではないと思います。グリップスタイルで親指でポチポチすることになるかと。
レイアウトは中国語専用のキーなどはなく、ASCIIに近い素直な配列。かつてのLOOX Uなんかよりよっぽど素直なんじゃないですかね。半角/全角キーはないので、日本語入力にはAlt + CapsLockを押すか、どこかに別のキーに割り当てる必要があります。
もっとも恩恵を受けるのは自作ゲーム作者ではないか
ゲームパッドと一体化したWindows機、という時点でもかなりオンリーワンですが、さらにキーボードが付いたことで究極にオンリーワンとなりました。ポータブルゲーム機やUMPCとして注目を浴びたりしていますが、ゲームパッドとキーボードの組み合わせでもっとも恩恵を受けるのは、自作プログラムやツクール系、ハックロムなど、パッドを使うゲームの制作者ではないかと思います。
単体でどこでもテストプレイしながらデバッグできるというのは大きい。とても大きいです。3Dをゴリゴリ使うようなものはスペックが厳しいとしても、2DならAtom x5-Z8500で困るほどのスペックを要求することもそうないでしょうし。5.5インチの画面でがっつりプログラムまでやるかというと微妙かも知れませんが、パラメータの調整くらいなら余裕でしょう。これはキーボードしかない今までのUMPCにもなかった魅力です(キーボードで頑張ることはできなくもなかったですが…)。
プレイヤー側としてもポータブルでプレイできるといいですよね。プレイヤーが増えると製作者が嬉しいのは言うまでもなく。
もしかしたら、GPD WINリリース後から自作ゲーム界隈が活性化するかも知れません。楽しみですね。