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【検証】Galaxy Tab S7のSペンのレイテンシ&スキャンレートを調べました

噂のハイパワーAndroidタブレット、Galaxy Tab S7をEtorenで購入しました。

さて、Galaxy Tab S7のSペンはGalaxy Note 20シリーズと同等レベルにパワーアップしたと謳われています。その内容について検証しました。

Galaxy Tab S7とは

Galaxy Tab S7は、Sペンが使えるAndroidタブレットで、SocはSnapdragon 865+、RAMは最大8GBと、Androidタブレットには珍しいハイエンドマシンです。

Sペンはワコムの電磁誘導方式による電池不要のペンです。Galaxy Tab S7にはCLIP STUDIO PAINT for Galaxyなどのペイントアプリがプリインストールされ、Sペンがお絵描きにも使えることがアピールされています。

Galaxy Tab S7シリーズは、Galaxy Tab S7とGalaxy Tab S7+の2種類があり、違いは主にディスプレイで、S7は11インチの液晶、S7+は12.4インチの有機ELです。リフレッシュレートはいずれも最大120Hz(可変)です。

というわけで、CLIP STUDIO PAINT for Galaxyのリリースによってお絵かきタブの急先鋒に立ったGalaxy Tab S7のペン性能を見ていきましょう。

レイテンシの確認

Sペンのレイテンシ(遅延)は今回、9msまで短くしたとされていますが、9msは値を受け取ってから線を引くのでは実現不可能な数字と思われるので、予測でまず適当な線を引いて、あとから正しい値で引き直す処理(ストローク予測)を特定のアプリに入れたんだろうと想像できます。

なお、ストローク予測は、Windows 10のWindows INK APIや、iPadのApple Pencilが使える一部アプリにも付いている機能だとされています。

その予想に立って、サムスン製のメモアプリ「Samsung Notes」と、セルシス製の「CLIP STUDIO PAINT for Galaxy」の2つで確認してみました。

予想通り、サムスン製のメモアプリでは低遅延なのに対し、クリスタでは遅延が大きいです。このことから、レイテンシ9msはソフトウェア処理(ストローク予測)で実現されており、ハードウェア性能によるものではないと思われます。

メモ用途では字を書いたりする上で遅延の低減が特に重要なので、メモアプリが低遅延なのは嬉しいですが、お絵描き的にはクリスタに恩恵がないのが残念でした。

とはいえクリスタもWindows環境でCintiqを使っているときと同じくらいの遅延に収まってはいますし、CLIP STUDIO PAINT for Galaxy自体の動作はWindowsの4K環境で動かすよりヌルサクなので、めちゃんこ快適なのは確かです。

スキャンレートの確認

Sペンのスキャンレートは、Galaxy Note 7、Note 8の時点で秒間360Hzと謳われていました。最近では公式からは特に言われなくなってしまったので実測します。

今回はAndroidのスタイラスの性能を測るアプリ、「Clover SC(スタイラス・チェッカー)」を使います。Clover SCがどういうアプリかについては、作者氏のブログが詳しいです。→Clover SCと描画遅延に関する考察 – CloverPaint雑記

※Clover SCは現在、Google Playストアでは公開されていません。ここではかつてGalaxy Note 8に入れていたものを、APKを抜いてきて実行しています。

↓Galaxy Tab S7での計測結果です。

スタイラスの平均値は2.77ms (360.43pps)。ppsは「ポイント/秒」を意味する単位で、Hzと概ね同じ意味で使われています。

まあ、なぜスペックを言わなくなったのかがよく分かりますね。360ppsならGalaxy Note 8と同等です。前と同じだったらアピールする必要はない(アピールにならない)、ということでした。

前と同じといっても、Apple Pencilの240Hzには余裕で勝っているし、Galaxy Tab S7には現状で望みうる最高のスペックのペンが載っています。

↓参考までに、Galaxy Note 8での計測結果も貼っておきます。

ちなみにGalaxy Note edgeは133ppsでした。

Galaxy Note 8を買ったときに「Cloverスタイラス・チェッカーはGalaxy Note8では動作しませんでした」と書いたんですが、改めて試してみたら、線が描けない(引いた線が見えない)だけで計測は行えているようでしたので今回使用しました。

結論

Galaxy Tab S7も、ワコムの電磁誘導ペン部分のハードウェアはGalaxy Note 8と変わらないのではないかと思います。

Note 9以降のペンに、画面から離して操作できる「エアアクション」機能を搭載したのも、現時点では電磁誘導方式の性能を上げるのが難しかったから、別方向から付加価値を付けるしかなかったのかもしれません。

Galaxy Tab S7の購入について

Etorenの商品は海外からDHLで発送され、税金等はすべて込みの価格表示となっています。今回はシンガポールから届きました。祝日等を挟むと税関で保留される可能性はありますが、発送後はおおむね1週間後には受け取れるかと思います。

Etorenは12ヶ月保証があり、修理が必要な場合は日本国内の提携倉庫に送ればよい(海外に発送する必要がない)とされていますので、万一の時も安心です。

Galaxy Tab S7シリーズはイオシスでも取り扱われており、イオシスは国内在庫なのでもっと早く受け取れるかと思います。ただし、日本に入荷している分しか売れない関係で、品切れも早いようです(初回入荷時はすぐに売り切れていました)。気になる方はお早めにどうぞ。

それならGalaxy Tab S6 Liteでもいいじゃん

Galaxy Tab S7のSペンが特別に強いわけではないのであれば、「絵を描くだけならGalaxy Tab S6 Liteでも十分」ということになるのでは、とも思いました。

Galaxy Tab S6 Liteは、Galaxy Tab S7の一世代前にあたるGalaxy Tab S6の廉価版で、処理能力や搭載メモリ量も価格相応に低いです(SoCはExynos 9611、RAMは4GB)。しかし、どこまで要求するかにもよりますが、ラフだけタブレットで描きたいとか、仕上げまでやる場合でもあまりレイヤーを使わないスタイルであれば、この程度のスペックでも特に問題にならない気もします。

Galaxy Tab S6 Liteは4万円台で買えます。

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