肉うどん

ワコムfeelドライバーの現状について

ワコムfeelドライバーについてはすぐにアップデートされるだろうと思って特に話題にしていなかったんですが、いつまで経っても問題が修正されないので2019年1月現在の状態を書いておきます。

ワコムfeelドライバーとは何か

ワコムが自社製以外のタブレットPCに提供しているペンとタッチパネルのコンポーネントがWacom feel IT Technologiesであり、そのペン用のドライバーがワコムfeelドライバーと俗に言われるものです。

ワコム公式ではWacom feel IT Technologies搭載モバイル端末用筆圧対応ドライバ、 Enhanced Tablet Driver、Wacom Components Driverなど色々な呼称がありますが、指しているものはおおむね同じです。なおEMR(電磁誘導ペン/電池不要)とAES(アクティブ静電結合ペン/電池あり)のいずれもドライバーは共通です。

Wacom feel IT Technologiesは、Intuos ProやCintiq Proで現在使われているプロペン系統とは互換性がありません。そのためプロペンとは別に、独自のドライバーのインストールが必要となります。

feelドライバーを入れると何が嬉しいのか

ワコムfeelドライバーは、ワコムペンつきのタブレットPCにWinTab APIを提供するのが主な機能。WinTab APIはペンの筆圧や傾きなどをアプリに伝えるための仕組みです。

以前(2015年頃まで)はWinTab APIにしか対応しないお絵描きソフトが大半だったため、ペンがあってもドライバーがなければ使い物にならず、新しいタブレットPCが発売されてもペンドライバーが更新されるまでは購入を様子見するといった事態まで発生していました。

現在では主要なソフトがWindowsの標準機能であるTabletPC API (Windows API) に対応し、WinTab APIがなければ描けないということはなくなりました。またWinTab APIにしか対応しないソフトでもMicrosoft WinTabを使うという手段もあり、ペンドライバーの重要度はかつてよりも低くなってはいます。

しかし、ワコムfeelドライバーは筆圧以外にもサイドスイッチの設定やポインタ位置の多点調整、デジタルインク機能(ペンフリックなど)の無効化などの機能も持つため、依然として必要とされるものです。また、一部のアプリではWinTab API経由(ワコムペンドライバ使用時)のほうが線が滑らかに描けるものもあります。

※サイドスイッチの設定は外部アプリで、ポインタの多点調整はtabcal(デジタイザー調整ツール)の呼び出しで対応は可能です。ペンフリックはWindows10 Fall Creators Update (バージョン1709) からWindowsの設定では無効化できなくなりました。

feelドライバーは機種ごとにプロファイルを持っている(らしい)

feelドライバーはインストーラに定められた適合する機種にしかインストールできません。そのため新製品が出るたびにドライバーの更新待ちが発生します。

これは私も詳しくないので正確には誤っているかもしれませんが、Wacom feel IT technologyのデジタイザは機種ごとに固有のパラメータを持っているようで、ドライバー側はそれに合わせてチューンしないと、仮に無理矢理インストールできたとしてもまともに使えないようです。なので適合するプロファイルがない機種に対してはインストール自体を弾く仕組みを設けている模様。

2018年はUWP版が更新されていた

従来のドライバーはバージョン7.3.4-47で更新停止していました。2019/1/3現在はUWP版ドライバーがバージョン7.6-8.7.26となっています(2018/12/14公開)。UWP版ドライバーにはLenovo用とされるものもありますがよく分かりません。

UWP版のドライバーはraytrektab (8インチ版および10インチ版)、Galaxy Book 12.0にインストールは可能。ただし動作はしません。どういうことかというと、インストール自体は行えるが、その後にワコムペンアプリを開こうとすると対象のデバイスがないと言われてしまいます。

具体的にはこうなる。この状態ではもちろんWinTab APIも使うことはできません。

raytrektab (8インチ版および10インチ版) とGalaxy Book 12.0で、ドライバーインストール後の挙動は微妙に異なります。しかし正常に動かないことに変わりはありませんので詳細は割愛します。

UWP版も2つ前のバージョン(7.5.1-25)ではインストールすら不可能でした。それが7.5.1-34ではインストールはできるようになったんだから、あと一歩だ、すぐ修正されるだろう……と思ってたら、そのまま放置で半年以上過ぎ、やっと公開されたバージョン7.6-8.7.26でも修正されていませんでした。もう駄目かも分からんね。

今後はどうなる?

わかりません。完全にワコムの胸三寸なので。そもそもUWP版とか日本の公式からリンクすらされてないですからね。どうなってるの……。

追記:UWP版の配布ページはなくなりました

従来のドライバーがバージョン7.6-10に更新され、UWP版ドライバーの配布ページは撤去されました(2019/1/12更新)。なおraytrektabやGalaxy Book 12.0に入れても動作しないのは変わっていません。少なくとも更新する気はあるのが分かることだけが救いです。

UWP版ドライバーは配布ページがなくなりましたが、Microsoft Storeで入手可能となっていました。→ワコムペン を入手 – Microsoft Store ja-JP

また、Microsoft StoreではLenovo ペン設定なるアプリも確認できます。こちらはUWP版ドライバーにあったLenovo用のものですね。アプリの説明文から、現行の配布ページも確認できました。Lenovo Pen Settings Driver

追記2:旧機種へのインストールについて

2019年現在、Wacom Americasで公開されている最新のドライバはSurface Pro/Pro2などの旧機種では動かなくなっているようです。最新版のドライバで動かない場合は Tablet PC Support | Wacom から Tablet PC – Enhanced Tablet Driver 7.3.2-12 をダウンロードして入れるのがよいようです。

追記3:Wacom One 13について

2020年になって、ワコムから安価なエントリーモデルの液タブ Wacom One 13 (DTC133) が発売されました。

Wacom OneのペンはWacom feel IT Technologiesを使用していますが、Wacom Oneのドライバーは上述のワコムfeelドライバーではなく、Cintiq Proなどと共通のものを使用します。ワコムのドライバダウンロードページからバージョン V6.3.38-2を入手してインストールします。

なお、このドライバーをGalaxy Book 12.0やRaytrektabにインストールしても、タブレットPC側のペンにはドライバーは適用されません。

この記事をシェアする




最近の記事