VAIO株式会社の新型2-in-1、VAIO A12が発表され、即日予約開始しています。11月22日頃出荷予定。価格は最小構成で121,800円(税抜)。
VAIO A12(個人向け) / VAIO Pro PA(法人向け)はタブレットPCとキーボードドックが合体してクラムシェル状となる、デタッチャブルタイプ(分離合体型)のPCです。
目次
VAIO A12のスペック
- OS:Windows 10 Pro 64bit
- CPU:Intel Celeron-3965Y / Core m3-8100Y / Core i5-8200U / Core i7-8500Y
- メモリ:4GB / 8GB / 16GB LPDDR3
- ディスプレイ:12.5インチ 1,920×1,080(16:9、176ppi)
- ストレージ(SATA SSD選択時):128GB / 256GB
- ストレージ(PCIe SSD選択時):256GB / 512GB / 1TB
- サイズ(タブレット本体):305.5mm×199.4mm×7.4mm
- 質量(タブレット本体):約608~622g
- サイズ(キーボード装着時):305.5mm×211.9mm×17.0~21.0mm
- 質量(ワイヤレスキーボード装着時):約1209~1223g
- ペン:ワコムAES(筆圧4,096段階)
- 形状:デタッチャブル(キーボードまたはクレードル付属)
カスタマイズによりハイスペックな構成も可能となっている一方、解像度だけは16:9のフルHD固定で、2018年後半のPCとしてはやや残念に映ります。
タブレット単体で見ると画面下部のベゼルが広め。もう少し画面を広げて16:10にしてくれれば……とも思いますが、これはキーボードと合体したときにちょうどよくなるように設計されているようです。キーボードと合体した状態をメインと考えられていることが見て取れます。
ワコムAESペン対応
今まではVAIOのペンといえばN-trig (今のMicrosoft Pen Protocol) でしたが、今回はワコムのアクティブ静電結合方式(アクティブES / AES)となっています。傾き検知については記載がないので非対応と思われ、Dell XPS 15 2-in-1とかに搭載されているとされる「AES 2.0」ではなさそう。
ペンの種類は、ワコムのプレスリリースにAESであると記載されていました。なおAESならばペン側に単6電池を入れるか充電する必要があり、VAIO A12のペンは単6電池挿入タイプです。
ワコムのAESデジタルペン入力技術がVAIOに搭載されるのは、今回が初めてとなります。
ワコムのAES™ペン技術、VAIO®の「オールラウンダーPC」に採用
筆圧を4096段階で感知する自然な描き心地、デジタル署名にも最適
などとわざわざ書かれているあたり、N-trigペン (Microsoft Pen Protocol) を捨ててワコムを選んでくれたという喜びが溢れ出ていますね(※想像です)。
また、毎度おなじみCLIP STUDIO PAINT EX(体験版)もバンドルされます。カスタマイズでCLIP STUDIO PAINT Proを優待価格(4,500円)で付属させることも可能です。
新方式のスタビライザーフラップでキーボードを軽量化! しかし…
これまでの2 in 1ノートPCとして、
Microsoft Surface Proっぽいやつとか、
東芝 dynapad S92っぽいやつとか、
東芝 dynabook RZ82っぽいやつとかが使いづらいだろうと指摘されています。タブレットをスリットに差し込むタイプのやつは角度調整できないのがマジで使いづらいせいで最近あまり見かけませんね。というわけで、この指摘自体はもっともではあります。ノートPC形態に限ってはですが。
キックスタンドはタブレット単体で自立するメリットもあり、そこをあえて無視するのはやや卑怯かなという気がします。キーボードはバッテリー搭載タイプならワイヤレスで分離して使えるが、じゃあそのときタブレット本体はどうやって立たせるの? と思ったら、
何やら別パーツを用意して立たせた上で「タブレットスタンドは付属していません」とのことでズコー感があります。フラップはそれとしてタブ本体にもキックスタンドをつければいいのに。なおキーボードドックを持ちながらタブ本体にキックスタンドも備える機種としては、東芝 dynabook DZ83/J
dynabook RZ82のようなゴツいキーボードドックを持つ(タブ本体にスタンドを持たない)機種に対しては上位互換と言えても、Surfaceのようなキックスタンド式に対しては一長一短ありそうです。ノートPC形態がメインの使用となるなら利点ありだと思いますが、お絵描き的にはどうなのか? というと、Surface Proシリーズのスタジオモード(キックスタンドを限界まで開いた状態)が使えるほうがよくね? と思わざるを得ません。
「タブレットをスリットに差し込むタイプ」を「角度調節不可」で使いづらいとして否定しておきながら、拡張クレードルがその「スリットに差し込むタイプ」なのも疑問です。ブーメランすぎる。そこまで言うならクレードルにもヒンジを付けて欲しかったところです。
フラップに既視感?
こういう構造、最近どこかで見たなと思ったらGemini PDAでした。Gemini PDAは天板が開いて支える構造となっています。
だからってVAIOがパクったなどというつもりもないですが。Gemini PDAは分離しませんし……。
また、ドッキングキーボードを後ろ支えする仕組みも、過去に似たようなアイディアはありました。富士通ARROWS Tab QH55/M (2013年モデル) のオプション、スリムキーボードは底面を後方に向かって延ばせるようになっており、軽量化しつつ重心を変えて支える仕組みでした。もちろんタブ本体と合体した状態で閉じてノートPCのように持ち歩くことも可能。
参考:idle065_ARROWS Tab QH55/Mスリムキーボードレビュー|アイドリングタイム
今見ると単純な方法で最大の効果を得ていて、なかなか頭のいいつくりですね。「一方ロシアは鉛筆を使った」的な。延ばしたときの見た目こそVAIOからすると「みっともない形状」ですが、160°近くまで開いてなお倒れず自立する点など、今回のVAIO A12の構造よりいいところもあります(こういうことをもっと富士通が公式でアピールすればいいのに)。
ディスプレイ側から棒が飛び出すなど、転倒させないための工夫はたくさん思いついたのですが、それが「VAIO」である以上、みっともない形状にはできません。その点、「スタビライザーフラップ」なら、閉じている時も、開いている時もスマートな見た目を保ちますし、開閉時に何か特殊な操作をする必要もありません。逆に言えば、このアイデアを広吉が思いついてくれなかったら、この商品のゴーサインが出ることはなかったでしょうね。
実際スタビライザーフラップは見た目も操作もスマートに組み込まれていて、キーボードに角度をつけることまで同時にこなすのは素晴らしいと思います。
軽いっていうけどLet’s note XZ6のほうが軽くない?
内容を見ていると、もっとも立ち位置が近く、直接競合するのは Panasonic Let’s note XZ6 CF-XZ6 かなと感じました。 Let’s note XZ6 のスペックを以下に示します。
- OS:Windows 10 Pro 64bit
- CPU:第7世代(Kabylake)Intel Core i5-7300U / Core i7-7600U
- メモリ:4GB / 8GB / 16GB LPDDR3 SDRAM
- ディスプレイ:12.0インチ 2,160×1,440 (3:2、216ppi)
- ストレージ:128GB / 256GB / 512GB / 1TB SATA SSD
- サイズ:286.5mm×206.2mm×9.5mm(タブレット本体)
- 質量:約560g(タブレット本体) / 約1,029g(キーボード込み)
- ペン:ワコムAES(筆圧1,024段階)
- 形状:デタッチャブル(キーボードドック付属)
※メモリ4GB、ストレージ128GBは店頭モデルのみ
うーん……。改めてLet’s note XZ6の驚きの軽さよ。それでいて従来のLet’s noteのイメージを崩さないデザインもすごい。なお同等スペックでの価格はLet’s note XZ6のほうが高いので、比べるのが酷かもしれない。
デザインが好みなら買いか
やや疑問の残る要素もありますが、VAIOならではの凝ったデザインは魅力的です。特に全てを黒く染め上げたALL BLACK EDITIONはかっこいいですね。Surface Pro6もそうでしたが、最近またPCが黒色に回帰してきているんでしょうか。