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GPD WIN3のスライダー機構について思うこと

GPD WIN3の設計思想に関する、GPDのWade社長へのインタビューがPC Watchで公開されました。

そこでは過去に流行したスライダー機構が廃れてしまった理由の分析なども載っていたのですが、その分析は誤っているのではないか、そして分析が誤っているならGPD WIN3の内部設計も怪しいのではないかと思っています。

ただ、このスライダー機構自体も、Ultrabook最盛期(2013年前後)ではパソコンでの採用例があったし、先述のW-ZERO3を代表とするスマートフォンでも多様されていた。ところが、時代とともにすっかり廃れてしまっていったということは、そもそもそういったニーズがなかったのではないか、とWade氏に問うと、同氏はこう分析する。

「一般的なWindowsノートでは、ヒンジ機構のほうがシンプルで、しまうときにディスプレイが中向きになり保護できるという合理的な機構のみならず、結果的にスライダー機構では使い勝手が良くなかった、ということでしょう。一方でスマートフォンに関しては、大半のユーザーがスクリーンキーボードに慣れていったため必然的に消えたのではなかったのでしょうか。しかしGPD WINシリーズにおいてキーボードはそもそもパスワードやチャットといった、短い文章の入力装置という位置づけで、使用頻度はそこまで高くない。それならスライダーも採用できると考えました」。

【特集】スライダー式になった5.5型Windowsゲーミング機「GPD WIN 3」の全貌 – PC Watch

そもそものPC Watch側の質問が悪いというのもありますが、スライダー機構が廃れたのはユーザー側の使い勝手・ニーズの問題ではないと思います。

前提として、スライダー機構はその構造上、俗にフレキと呼ばれるフレキシブル基盤(フレキシブルプリントサーキット、FPC)を使用します。付いたり離れたりする画面とキーボードを、柔軟性のある配線でつなぐ必要があるからです。同じくスライドキーボードを採用する2019年の機種、F(x)tec Pro1も、キーボード展開時に横から見るとフレキシブル基盤の存在を確認できます。

フレキシブル基盤は画面のスライドにあわせて柔らかく形を変えますが、それゆえに弱く、スライド時の衝撃で断線して画面かキーボードのいずれかの機能が脱落する……というのがW-ZERO3などのスライダー機構を採用した機種でよくあった故障です。「W-ZERO3 フレキ 断線」でググると事例が無限に出てきます。

要はスライダー機構なんてものはメーカーが積極的に作りたいものではないんですね。スマホが可動部品の少ない一枚板へなっていったのも、可動箇所を減らせば減らすほど部品点数も減るわ、故障も減るわでいいことづくめだからのはずです。

GPDがメーカーの都合ではなくユーザーの使い勝手に基づいて製品開発をしているのならそれは良いことですが、GPDの今までの製品品質から考えるとスライドキーボード&フレキシブル基盤はとても扱いきれるものとは思えないし、廃れた理由を「機構として貧弱だから」と考えていないとなると構造の強化もされていない可能性が高く、故障が頻発するのではないかと危惧しています。ヒトバシラーになりたい方は覚悟はしておいたほうがよいでしょう。

まあGPDの製品を買う人はわりと自分で分解修理してしまう方が多そうなので、さしたる問題にもならないかもしれませんが……。

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