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【P5R感想】追加要素「イシ」と「スタンプ」はカレンダーシステムと相性が悪い

ペルソナ5 ザ・ロイヤル(P5R)は無印にあった要素は全体的に良調整がなされているものの、追加された新要素が既存要素に悪影響を及ぼすことまでは考慮されていないフシがあります。具体的には「イシ」と「スタンプ」です。

というわけで、ここでは「イシ」と「スタンプ」について思ったことを書きます(この記事にはストーリーのネタバレ要素はありません)。

イシとは

イシはパレスの主の感情だか何だかが結晶化したものとされています。

各パレス(ストーリーダンジョン)内にかけらが3つずつあり、3つ集めると合体して装備可能なアクセサリになります。いずれも特殊なアビリティを持ち、ボス攻略の難易度に大きく影響するものもあります。

全探索を強いられる

ペルソナ3から実装され、ペルソナ5まで引き継がれているカレンダーシステムでは、ダンジョン探索から帰ると日付が進行します。そのため、効率を考えると1度の進入で行けるところまで行かざるを得なくなります。

他のRPGではダンジョンに潜ってて面倒になったらいったん出直して他のイベントをやったりもできますが、ペルソナ5は途中で帰るという選択肢が事実上取れない(システムからそう誘導される)構造となっています。それがダンジョンへ潜ること自体の面倒さを強めています。

その面倒なダンジョンに、さらに面倒な探索要素を追加したのがイシです。

各パレスは攻略が完了すると二度と行けなくなることから、イシは各パレスの攻略中に回収しなければなりません。無印ではパレス内にそこまで重要なアイテムは配置されていなかったので、探索が面倒ならオタカラ(各ダンジョンのゴール)まで直行してもよかったのが、P5Rはそうも行かなくなりました。

パレス自体は簡略化されているが…

イシが追加されたとはいえ、各パレスのマップは簡略化されているのでオタカラまでのルート確保自体は楽になっています。これはシナリオ後半のパレスほど顕著です。

ただし、ルート確保が楽になった代わりにイシ探しのパズル要素がブッ込まれているので、総体として楽になった感はないです。

イシ探しは脇道に逸れる必要があるのが問題となってきます。上手いことルート確保までの探索中にイシを全部見つけられれば何の問題もないですが、うっかり見落とした場合に地獄が始まります。どこを見落としたのかマップを隅から隅まで見直す必要が出てくるんですね。

オタカラまでのルート確保をしたからといって敵が出なくなるなんてことはないので、再探索中に無駄な戦闘が発生することもあり、さらに時間が掛かります。めんどくせ。

イシに対する感想に幅があるのは迷わず脇道に逸れられた人がいるから?

世の中には、マップが簡略化されているからイシ集めを含めても無印のころより簡単になっている、というご意見があるようです。迷わず脇道に逸れることができた人には何が問題なのか分からないのかもしれません。

私は銀行でも宇宙船でもカジノでも客船でもぜんぶ脇道を見落として、マップを端から端まで行き来しまくりました。

ペルソナ5無印ではパレス内にパズル要素はあっても基本的に一本道で、通り過ぎた道をまたチェックし直すようなストレスはありませんでした。なのでイシ探しは追加要素がプレイ感に悪影響を及ぼしていると感じています。

ダンジョンに入ると日が進むのが、ゲームの複雑化と噛み合ってない

上でも触れたように、ペルソナ5は1年間の限りがあるカレンダーシステムを採用しています。

最初にこのカレンダーシステムが搭載されたペルソナ3は、タルタロスという自動生成のダンジョンを進むものでした。タルタロスの仕様はペルソナ5のメメントスとほぼ同様で、最終的には最奥まで進まなくてはいけないが、基本的に進行は任意であり、ストーリー上で定期的に来る月齢ボスを倒すためにトレーニングをする場所の扱いでした。

このタルタロスが進んでも変化がなくて退屈という声を受けて、ペルソナ4、ペルソナ5とシリーズを重ねるたびにダンジョン探索が強化されて発展してきたものの、その結果としてダンジョンが面倒で行きたくないものとなってしまった感は否めません。

ペルソナ4以降は昼にダンジョンへ行くようになったのに対し、ペルソナ3は夜にダンジョンへ行く(ペルソナ3無印では夜は他にやるべきことが少ない)というのも大きかった気がします。

結局のところ、今のペルソナ5のように昼夜どちらも行動枠として重要な状態で、ダンジョン探索にも重きを置かせたいなら、ダンジョンに入っても日が進まないようにすべきだったと思います(突入自体は1日1回しかできないといった制限はあってもよい)。

ダンジョンに入っても日が進まなければ、面倒になったらその時点で帰ってしまってもよくなります。

ペルソナ3のときのゲームデザインはダンジョンの要素が薄く、また夜はダンジョンに潜る以外の行動の選択肢を減らすことでバランスが取れていたが、増築を繰り返してシステムが歪になってしまったのではないでしょうか。

探索中の補給手段が充実しすぎた

また、ペルソナ3は補給手段を減らすことで探索1回あたりが長続きしないように設計されていました。ペルソナ3は探索中のSP回復手段が乏しく、SPが尽きたら基本的にエントランスに戻るしかありませんでした(ペルソナ3ではエントランスに戻るとHP・SPが回復する)。

さらに、長時間潜り続けて戦闘を繰り返すと仲間が疲労します。疲労すると戦闘に悪影響を及ぼす上に、回復のためにエントランスへ戻ると疲労した仲間は帰る、といった要素があり、今いける最奥部まで辿り着けてなくても撤退せざるを得ない時が来るようになっていました。

それに対し、ペルソナ5は無印の頃から「貼る大気功」(毎ターンSPが回復する装備品)に代表されるSP補給アイテムが豊富にある上に、体調の要素はペルソナ4の時点で削除されています。

資源が尽きて強制的に帰らされるのもストレスではあるものの、無限に潜れてしまっていつまでもダンジョンに掛かりきりにさせられるのと果たしてどちらがよいか? というとペルソナ3の頃の方がトータルのゲームプレイとしては快適だったかなと感じるようになりました。

イシを取り忘れた場合の救済手段もあるにはあるらしい

パレス攻略中にイシを取り忘れた場合、そのパレスの攻略後にメメントスで花を大量に(400個)集めればジョゼが交換してくれるらしいので、それなら最悪無視することもできなくはないです。

しかしゲーム中のメッセージではそのようなことを聞かされた覚えはありません。聞いていればシナリオ後半のイシ集めは確実にスルーしていました。実際に取り忘れた場合のみアナウンスがあるのかもしれません。

花とは

花はメメントスの道に落ちています。一定数を集めると、メメントス内に出現するジョゼがアイテムと交換してくれます。

花はメメントスを出ると消えてしまうので、アイテムと交換できるキリのいい数まで集めたいと思うようにされています。が、ジョゼがフロアに登場するかどうかはランダムで、キリよく交換しきるのは難しいので割り切ったほうがよいですね。

花は集めても集めなくてもどうでもいいとして、問題はスタンプです。

スタンプとは

メメントス内の各所にスタンプ台が設置されています。スタンプを集めてジョゼのところへ持って行くと、メメントス内で入手できる経験値、お金、アイテム数を強化できる「認知変化」を行ってくれます。

スタンプ台は、各階のゴールに必ず1つあるほか、フロア内のどこかにもランダムで出現することがあります。

スタンプ集めはなぜ面倒なのか?

スタンプ集めが面倒な理由は主に3つあります。

メメントスにも「1回入ってから出ると日が進む」ペナルティがあり、1回入ったらそのタイミングで探索しきって、スタンプも全部攫っておかねばと思わされるのが大本の問題点だと感じました。

探索機会が限られることでスタンプ台は「見つけたらラッキーなもの」ではなく「見つけられなければ探索が延々と続くもの」と化していると言えます。要は「ダンジョンから出ると日が進む要素と、スタンプ台のランダム発生は相性が悪い」。

メメントスは自動生成ダンジョンです。ペルソナ5無印では階層の進行度とミッション対象の処理くらいしかやることが定められておらず、これらはすべてランダム性のない、前に進めば自動的に終わるものでした。

スタンプのせいでマップを自力で探索する必要が出た

ショートカットすると損する理由について。

ペルソナ5では、メメントスにおいては佐倉双葉(隠者コープ)のコープアビリティ「メメントスサーチ」でそのフロアに着いた瞬間にマップが全開放されることがあり、そのときだけはマップ表示からのショートカットですぐに次の階へ進むこともできる……のだが、P5Rではメメントスの各フロアにスタンプ台が追加されてしまいました。

ショートカットで次のフロアへ進むとスタンプが押せないので、マップがオープンになってもスタンプ台まで自分で移動しなければなりません。これはショートカットに「フロア内のスタンプ台へ移動する」、「階段の手前まで移動する」といった項目を追加すればよかっただけだと思うのですが……追加要素への配慮がないですね。

次の階に進んでから、いったん前の階に戻ってスタンプを押し、改めて次の階に進む。という方法も取れなくはないですが、余計な操作をさせられている感は否めません。また、この操作を行うと前の階のマップは再生成されるため、ランダムで発生したスタンプ台は消えます(再生成された結果、また発生する可能性もありますが)。

なお、スタンプの進捗状況は押した総数しか確認できず、どこを押していないのかを確認するすべはありません。固定で配置されている箇所は通るときに確実に処理しておく必要があり、各階のゴールにあるスタンプを押し忘れると、どこを見過ごしたのかの確認地獄が発生します。

自力探索しないと集められないのは花についても同様ですが、花は固定設置のものはなく、どの階にも無限に落ちているのでそこまで切迫していません。

スタンプ集めが面倒なら集めなくてもいいじゃん

スタンプは集めなくても別に困りはしないのですが、アワードにはスタンプを150個集めるものがあり、アワードを埋めたい場合はスタンプ集めが必須になります。150個という値は集められる総数(165個)よりやや少ないのが唯一の救いです。

やりこみ要素たるアワードの目標値すら総数よりやや少なくしてる時点で、「全部集めるのはキツすぎるからそこを目指させるのはやめよう」という判断があったのが透けて見えるし、なら集めやすさをもう少し考えてもよかったんじゃないですかね、と思ってしまいました。

メメントスはタルタロスとほぼ同仕様という事実

イシの方で書いたように、タルタロスが退屈という感想を受けてダンジョンが強化された結果としてパレスは固定ダンジョンとなったのに、タルタロスほぼそのままなメメントスが別口で実装されてるのも冷静に考えるとやばいですね。まあこれはペルソナ5無印からそうですけど。

そのやばいメメントスをさらにやばくしているスタンプとかいう要素、本当にやばくないですか? これでメメントスが面白くなると思って実装したのか何なのか疑問です。

メメントス内をくまなく探索するメリットを付けるために面倒なのは承知で実装した、というならまだいいとして(よくないけど)、スタンプのお陰でメメントスが面白くなった、とか思ってたらヤバいですね。

あるいは、スタンプを集めるとメメントス内で入手できる経験値、お金、アイテム数を強化できるので、最終的にはメメントスで探索する時間を短縮できる、と考えられているのかもしれません。しかし、それを集めるためのスタンプ台に関してはプレイ感に悪影響しか及ぼしておらず、スタンプを集めきる頃にはそんな恩恵はどうでもいいくらいにパーティは強化され尽くしているはずです。

なお、ペルソナ3にはパーティーメンバーに個別に探索させる散開機能がありました。散開状態では仲間が宝箱からお金を見つけてもネコババされる(笑)とか、仲間が1人で敵と遭遇して勝てないと普通に死ぬといったデメリットはあるものの、放っておけば勝手にマップが明らかになります。なのでペルソナ3では探索が面倒なときは仲間にお任せしておけばよかったのですが、散開はペルソナ4の時点で削除されています。

おわりに

繰り返しになりますが、P5Rはペルソナ5無印からあった要素への調整は素晴らしいものばかりです。見比べなければ気づかないような細かな改変も数多くあり、改変が自然すぎて追加要素が少ないなどといった勘違いを引き起こしているケースもあったり。

それだけに、なぜ新規要素にもその目を向けられなかったのかと残念でなりません。今後P5Rのスタッフが新規タイトルを作る際は、P5Rの既存要素への調整のような細やかな配慮が各所になされてることを祈ります。

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