【検証】dynabook Tab S68のペンは傾き検知を使えない?TabletPC APIでは傾きの情報が取れないらしいですよ(追記あり)


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dynabook Tab S68のアクティブ静電結合ペンは、ペンの傾きが大きくなっても位置ズレが少ないのが売りのひとつでありますが。これがイコール傾き検知対応と勘違いしていたのですが、東芝ワコム のプレスリリースなどを改めて確認すると、傾き検知対応と明言はされていないのでモヤモヤ。どこかで見たような気がしていたんですが、傾いてもズレが少ないというのを拡大解釈していたのかなあ。

で、実際のところどうなの、っていうのは実機が手元にあるんだから傾き検知対応のブラシで試したらよろしいじゃろがい、と思ったら、まさかあんなことになるなんて……。

TabletPC APIでは傾きの情報が取れないらしいですよ

ところで、Wacomの中の人のブログで、Surface Pro/Pro2が標準の状態でPhotoshopやSAIの筆圧に対応していない件についての解説をされているのを見つけました。

筆圧とドライバーとAPI – Surface Proで筆圧が!の裏側 | デジタルインクの世界へようこそ ※現在は削除。内容は Internet Archive で確認可能です

要約すると、デフォでドライバが入ってないからWinTab APIに対応してませんでした、という 例のアレ の話です。それ自体は、知ってるわよそのくらい!なのですが、終わりのほうに気になることが書いてありました。

ところで、なぜ PhotoShop や SAI がMicrosoft の標準ではない Wintab を使って実装したのでしょうか?
Wintab ではペンが送信する様々な情報を API として扱うことができます。
たとえば、Microsoft 標準の API では扱うことができないペンの傾きやペンのUnique ID、ペンの回転などの情報を得ることができます。
これらの情報は特にグラフィック系のアプリケーションで必要となる情報であるため、これらのアプリケーションではWintabが利用されているのです。

まあWinTab APIのほうができることが多くなかったら、誰もそんなものをわざわざ使わないよね~。ってことで、それはいいのですが。

Microsoft 標準の API では扱うことができないペンの傾きやペンのUnique ID、ペンの回転などの情報を得ることができます。

えっ?

Microsoft 標準の API では扱うことができないペンの傾き

えええええええええ

試してみた

本当のところどうなのか、Cintiq 24HD touch+CLIP STUDIO PAINTで試してみました。(言うまでもありませんが、Cintiq 24HD touchはWinTab APIに対応しています。)

実験①:WinTab API使用に設定

まず、環境設定から、使用するタブレットサービスをWinTab APIに設定します。

次に、新しいブラシを作り、本当に傾き検知で強弱が変化しているのか分かるように、傾きだけが線の強弱に影響するようにします。

傾き検知の設定は、上図のようにしました。

この設定では、WinTab API使用時は傾けるほどペンが細くなります。

実験②-1:TabletPC API使用に設定

次に、使用するタブレットサービスをTabletPC APIに変更します。

TabletPC APIに変更したのち、同様の設定のペンで描くと……

太さが一定なので傾きは影響していないことが分かります。

実験②-2:TabletPC API使用で、傾きのグラフを逆に設定

また、傾きのグラフを逆に設定すると、

ペンでグリグリやっても何も描けませんでした。

Oh…

結論

なるほど確かにTabletPC APIは傾きに対応していない。

実験③:dynabook Tab S68でも試してみた

もはや特に意味はないと思いますが、念のためdynabook Tab S68(TabletPC API使用)でも試してみた。

同じ結果になりました(そりゃそうだ)。

あと比べてみて気づきましたが、S68はグルグル~っと早く描いたときに明らかに描画が遅い。一段階遅れてついてきます。CPU等のスペックのせいなのかペンの性能なのかは不明。

おわりに

というわけで、アクティブ静電結合ペンが傾き検知に対応しているかどうかは不明なままです。傾けてもポインタがズレないのは間違いないんですけど。対応しているかどうかはともかく、現状傾き検知が使えないことだけは確かです。

まあ私は傾きの情報を使ったブラシは使わないのでいいっちゃいいんですが、「傾き対応してるよ! やったね!」と思ってS68やS80を買うとガッカリする人もいるかもですね。(そういう人はまずWinTab API非対応の時点でガッカリし尽くしているから今さらかもしれない。)

※その後、dynabook Tab S68対応ドライバが公開されてWinTab APIには対応しましたが、傾き検知には対応してませんでした。→dynabook Tab S68などのアクティブ静電結合方式ペン対応のワコムドライバ公開 PhotoshopやSAIなども筆圧対応へ

CLIP STUDIO PAINTのTabletPC APIモードが傾きに対応していないだけでした

(2017年6月15日追記)CLIP STUDIO PAINT Ver.1.6.6で、TabletPC APIモードも傾きに対応しました。傾きが有効なペンでは、TabletPC APIでも傾きが効きます。→CLIP STUDIO PAINTアップデートでTabletPC APIモードでも傾きが効くようになりました

じゃあワコムの人が言っていたTabletPC APIでは傾きが取れないとは何だったのか?というのはよく分かりませんが、もしかしたらWinTab APIができた当初はそうだったのかもしれませんね。軽く調べた感じではその辺の歴史までは探れませんでした。

とりあえず現状公開されているマイクロソフトのドキュメントには普通にペンの傾きもTabletPC APIで処理されるって書いてありました。

Report raw data only. The driver must not compensate for linearity, pen tilt, display rotation, or scaling. These transformations are handled by the Tablet PC API.

Minidriver requirements for tablet PCs | Microsoft Docs

(意訳)生データのみを報告します。ドライバーは直線性、ペンの傾き、ディスプレイの回転、またはスケーリングを補正してはいけません。これらの変換はTablet PC APIによって処理されます。